トップコラム戦場のプロテニス選手 オーストリアから

戦場のプロテニス選手 オーストリアから

アレクサンドル・ドルゴポロウさん(36)は世界ランキング13位まで上り詰めたウクライナの有名なプロテニス選手だ。現役を引退して10カ月後、ロシア軍がウクライナに侵攻した。その時、トルコに滞在していたが、迷わず軍隊に入ることを決意したという。「当時、武器の使い方を全く知らなかったが、祖国を守るために軍隊に入ることにした」と決意。

独週刊誌シュピーゲルはウクライナ侵攻3年を特集して、同氏とのインタビュー記事を掲載した。現在は無人機を操縦するパイロットとして働いている。「戦争で何を失ったか」と聞かれ、「心の静寂だ。今は平和だけを願っている」と語る。

テニス選手だったことが戦争で役立っているという。どのような状況にあっても敏速に判断して行動することが身に付いているからだと説明していた。「自分が恐れていることは、負傷して体が動かせなくなることだ」と思っている。

トランプ氏が米大統領に就任したことでウクライナがどのようになるか不安だという。ドルゴポロウさんは最後に、「兵士となって以来、もはや計画はしなくなった。ただ一日、一日を懸命に生きることを学んできた」と述べていた。

戦死したウクライナ人のスポーツ選手には、重量挙げのオレクサンドル・ピエリエシェンコさん、射撃選手のイバン・ビドニャクさん、キックボクシングのビタリー・メリノフさん、ストロングマン競技選手オレクサンドル・ビロコンさんらがいる。彼らはスポーツ界での功績だけでなく、祖国を守るために戦場で命をささげた英雄として記憶されている。(O)

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