ロシアのウクライナ侵略が、3年を経過して4年目に入った。ウクライナの継戦能力を考えた時、国民のエネルギーや食料は不足していないのだろうかと。大東亜戦争末期のわが国のように、飢餓や電気不足で苦しんでいる様子は見えない。
このような中、ウクライナのゼレンスキー大統領が2月28日訪米し、米国のトランプ大統領とホワイトハウスの大統領執務室で、記者団を前にして会談した。しかし協議は激しい応酬となり、決裂した。会談後に予定されていた昼食会や、ウクライナの鉱物資源開発の協定署名式は中止となり、会談は物別れに終わった。トランプ大統領は「彼はとても強く出過ぎたと思う。平和を望んでいる男ではない」と批判した。一方ゼレンスキー大統領は「双方にとって良くなかった」と会談を振り返っている。
ロシアのプーチン政権は、米国とウクライナの関係変化を見て「ゼレンスキー大統領のワシントン訪問は、政治的・外交的に完全な失敗を意味する」と決裂を歓迎している。プーチン政権内では、従来の米国批判が消え始め、有利な停戦条件を探っていると見て取れる。
石破茂首相はこの会談の決裂について、「意外な展開で、かなり感情的なやりとりだった」と指摘し、「国際社会の分断を招かないよう、先進7カ国(G7)の結束が乱れることがないように努力したい」と語り、具体的なわが国の戦略が見えない。
世界中がいろいろと発言し動いている時に、中国政府の発言が聞こえてこない。中国は70年以上の分裂と対立を経て、ロシアのウクライナ侵略、そして今回のトランプ大統領の発言を見ながら、台湾統一のシナリオを考えている。死者を出さないで勝利を収め、台湾統一をどう実現するか。中国は台湾周辺で、陸海空軍の大規模軍事演習を頻繁に行っている。
台湾有事を考えた時、南シナ海・東シナ海の海上封鎖が生起し、わが国への輸入、わが国からの輸出は止まる。わが国の食料・エネルギーをはじめ、全ての経済活動は危機に落ちる。今の国会中継の質疑応答を見ていて、レベルの低い、政党の生き残りのやりとりが多く、国家の繁栄・国の安全の話は聞こえない。
ロシア、中国、北朝鮮の核兵器に対する抑止力は、どうするのか。トランプ大統領の2期目の政権を見て、日本独自の防衛力を考える時だと政府に献言したい。まずは、憲法を改正し、非核三原則、専守防衛から目覚めて普通の国に生まれ変わる時だと。(呑舟)