
フィリピンではデング熱が急増、今年早くも感染者は5万人に達し、昨年の同時期と比較して64%の増加。各自治体がさまざまなアイデアで、感染対策を打ち出している。
依然としてデング熱が根絶されない背景には、都市部の密集した住宅環境のほか、排水インフラの未整備などウイルスを媒介する蚊が繁殖しやすい環境がある。
マニラ首都圏のある自治体では、蚊やボウフラの捕獲に報奨金を出す制度を開始した。しかし、「報奨金欲しさに蚊を繁殖させる人がでてくるのでは?」との懸念も寄せられ物議を呼んでいる。
またデング熱のアウトブレイク(大流行)が宣言されたケソン市では、蚊を捕食するカエルを放流する計画も浮上しているが、専門家などからは生態系への影響などを心配する声も。
感染が拡大する中、フィリピン医師会は日本の製薬会社が開発したデング熱ワクチンの早期承認を政府に求めている。ワクチンは感染拡大を食い止める大きな一手になることが期待され、ほかの国ではすでに使用が開始されている。
しかし、フィリピンでは以前に承認されたデング熱ワクチンの副作用で子供が死亡するケースがあったため、ワクチンへの不信感が根強いのが課題だ。デング熱問題の根本解決には、ワクチンだけでなく 住環境の改善や衛生管理の徹底も不可欠。政府と国民が協力し、持続可能な方法を模索することが求められている。(F)