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カントの哲学概念の一つにフェノメノンとヌーメノンがある。フェノメノンは感覚や知覚で把握できるが、ヌーメノンはそれができないもの。計り知れない要素のことだ。
「土地倫理」を提唱したアルド・レオポルド(1887~1948年)は、その一例として米国の北部森林地帯に生息するエリマキライチョウを挙げる。
このライチョウは1エーカーの土地に対して質量やエネルギーの点で100万分の1の意味しか持たないが、この鳥をなくすと環境全体が死んでしまう。
『野生のうたが聞こえる』(ちくま学芸文庫)で記しているが、それをレオポルドが最初に悟ったのは森で母オオカミを銃で撃ち、近寄って行って、凶暴な緑色の炎が両目から消えようとする時。その目の中にオオカミと山にしか分からないものが宿っているのを知った。
それまではオオカミの数が減ればシカの数が増えてハンターの天国になると考えていた。が、実際にそれがなされてみると、オオカミのいなくなった山ではシカに樹木の若芽が食べられて枯れ、シカも増えすぎて餌がなく、餓死していった。
土地倫理というのは、山とオオカミにしか分からなかったものを人間も知らなければならず、人間と自然界の間にある創造主の定めた倫理を守るようにしなければならない、という主張だ。
だが海洋や森林など環境破壊は今も継続しヌーメノンはヌーメノンのままだ。
(岳)






