トップコラムハクチョウの飛来と帰還【上昇気流】

ハクチョウの飛来と帰還【上昇気流】

ハクチョウ

東京都板橋区に浮間公園がある。JR浮間舟渡駅の北側で、中央に大きな浮間ケ池、池畔にはシンボルの風車、周囲にウメやラクウショウなど樹木も多い。いつも見掛けるのは釣り人たちだ。

かつてこの近くに小紙の仕事場があり、冬は公園で渡り鳥を眺めるのが楽しみだった。先日、行ってみたところ、キンクロハジロの群れなどいたが、数が少なく、もう帰り始めたのかと思った。

「鳥雲に入る」というのは春の季語だが、2月になると渡り鳥の数も徐々に減っていく。新潟県阿賀野市にはハクチョウの飛来で有名な瓢湖(ひょうこ)がある。ある年の晩秋にハクチョウを見に行った。

見たのは湖ではなく、刈り入れの終わった田んぼで、日中は餌を求めて来ている。ここで知ったのはハクチョウも家族単位で行動するということ。湖では分からない生活形態だった。

この冬の飛来状況を見てみると、昨年の11月29日が6093羽で、この月をピークに減っていき、今年の1月31日は5411羽。2月21日、3800羽。阿賀野市の発表だ。飛び立ったハクチョウはいったん北海道へ向かう。

そこからオホーツク海を越えてサハリン島に渡り、極東ロシアを目指す。だから早春には、北海道でハクチョウの数が増える。「白鳥ら群れて舞ひ舞ふ北国の天地を語れ故郷を語れ」と歌人の石川恭子さんは歌った。彼らに人の言葉が話せたならば、旅の冒険のドラマ、家族の愛のドラマ、父祖らの教訓をも語ることだろう。

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