トップコラム保守層はトランプ効果活かせ【政界一喝】

保守層はトランプ効果活かせ【政界一喝】

電光石火のごとく公約を推進中の米トランプ政権に対し、日本の通常国会では来年度予算成立のため、少数与党が生煮えの政策議論を携え、野党折衝に蠢(うごめ)く様相だ。

非主流派で梲が上がらない自民党保守議員らが仕掛ける「政局」への狼煙(のろし)は、党内批判に始まろう。

「年収103万円の壁」突破を旗印に、減税公約で人気を博した国民民主党への、自民党税制調査会(宮沢洋一会長)の対応は不誠実だ。これには高市早苗・前経済安保担当相が、X(旧ツイッター)に落胆と怒りをもってポストした。だが1400万超のビューを得るも、「言うだけならガス抜き」「結果を出せ」などと反応は手厳しい。保守層の自民党への失望感は鬱積(うっせき)している。

トランプ大統領による威勢の良い米政治をわが国に活(い)かす構想も今日、保守政治には有用だ。日米首脳会談を通じて再確認された安倍晋三元首相への高評価は、グッドニュースでしかない。ウクライナ、中東情勢が落ち着きを取り戻す中、昭恵夫人が頼清徳・台湾総統と面会した。トランプ氏の注意を東アジアに惹(ひ)くファインプレーである。

世界を駆け巡るUSAID(米国際開発局)問題は、わが国にも点検の機会を与えた。

USAIDは日本のJICA(国際協力機構)に相当する米政府の対外援助機関。だが中身は、支援の名を借りたDEI(多様性、公平性、包摂性)の促進に偏重、不透明な資金還流(民主党関係者へキックバック)の疑惑にも満ちていた。納税する国民に説明不能な実態をホワイトハウス報道官が発表し、看板政策である政府効率化により解体の対象となっている。

バイデン政権追従だった岸田文雄政権下の2023年、LGBT理解増進法が強引、非民主的手続きで成立したことはいまだ心残りだ。NHKを筆頭にした報道機関含め、不透明なDEI関連資金により、日本でも偽情報・誤情報対策の名目で、国内政策を歪(ゆが)めた形跡がなかったか精査し、法制度の見直しも考慮すべきだ。

日中関係に目を転じると、石破茂政権では昨年末、岩屋毅外相が訪中し、日本への中国人旅行ビザの独断的な緩和措置が批判を浴びた。だが、遥(はる)かに深刻な合意事項があった。中国外務省サイトでの掲示によると、何と同国共産党のプロパガンダを、日本政府が関与し日本国内へ徐々に広めるメディア政策が容認されているのだ。

由々しき事態であり、トランプ米政権が懸念、注視することは間違いない。

本紙Viewpоintの執筆者であり、同合意への怒りを発信した評論家の石平氏が、今夏の参院選全国比例区に日本維新の会から出馬表明したことと、無関係であるまい。

自民党のリベラル化には失望する一方だ。だが、党の分断と弱体化は、それをよしとする国内外の勢力が厳然と存在する点を念頭から外せない。少数与党の、中でも少数に甘んじている保守議員らは、忍耐強く党改革、勢力回復に向けた打開策の模索に余念がないはずだ。さもなければ先の衆院選に続き、来る参院選での惨敗も避けられまい。保守有権者らは分断を避け、やはり忍耐強く、日本の国力増強を共通目的とすべきだ。

そこでのヒントは、日本の国益を最大限に引き出す米トランプ効果の戦略的活用だ。(駿馬)

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