トップコラム高校無償化で起こること

高校無償化で起こること

2025年度予算審議の焦点となっていた高校授業料無償化について、自民・公明両党と日本維新の会の3党協議で、公立・私立を問わず年収910万円の所得制限を撤廃する方針でまとまった。

その他、維新の会が求める0~2歳児保育の無償化については保育料負担の軽減や支援拡充を図っていくほか、来年度から実施される小学校給食無償化を中学校にも拡大することなどが合意文書に盛り込まれた。対象となる子供がいないシニア世代には、他人事(ひとごと)ではあるが、所得制限撤廃の無償化で利を得るのは誰なのかと考えてしまう。

無償化についてはさまざまな問題が指摘されている。まず財源をどうするのか、都市と地方の教育格差を拡大させる、工業高校や農業高校の存続が危うくなる、私立に生徒が流れてしまうなどだ。所得制限撤廃となれば、中学受験に拍車が掛かり、小学生の学習塾通いが増えるのは目に見えている。首都圏では子供の数が減っているにもかかわらず中学受験数は伸び続けている。

首都圏模試センターによると、2025年の首都圏私立・国立中学受験者数は5万2300人で、過去40年間で3番目に多い。受験率18・10%は過去2番目の高さだ。ちなみに、2000年の受験率は13%である。

私立中学を希望する理由は質の高い教育や学校設備が充実していること。そして高校受験の必要がなく、大学付属の中高一貫校なら、中学受験を頑張れば、そのまま系列大学に進学できるので保護者の負担軽減にもなる。高校無償化で選択の自由が広がると維新の会は主張するが、それは通える範囲内に私立がある大都市圏に限定されることだ。

無償化を喜ばない親はいないだろうが、未来世代への教育投資として効果的な教育投資となり得るのかどうか。保護者の願いは質の高い教育である。まず公教育の質を上げることの方が先ではないだろうか。

(光)

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