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埼玉県八潮市の道路が崩落しトラックが転落した事故では、下水道管の損傷部分に土がなだれ込み大事を引き起こした。この下水道管は1983年に供用が開始され、2021年度の県の独自検査では「直ちに補修が必要な状況ではない」とされていたという。
それに関連し、森田弘昭・日大教授(下水道工学)は「長い年月をかけて穴が開く場合が多い。検査から数年で巨大な穴が開いたとは思えない」との見解を述べている(小紙11日付)。
では21年度の検査から3年ほどしか経(た)っていないのに、今回の事故が生じたという現象をどう見ればよいか。検査の時点ですでに何らかの異変、予兆があったのを見落としたのか。あるいは道路の主な崩落原因はほかにあるのか――。
ここ数年、全国各地で道路の陥没事故が目立っている。5年前、東京都調布市の住宅街の道路が外環道の地下工事の影響で大きく陥没。復旧は今もままならない。その上、工事現場周辺の地盤の緩みの原因については複数の意見があり特定されていない。
一般に土質工学では、工事前の土質の見立てが一般科学と違って難しい。また建設当初の設計図や地盤調査データが残っていても、そこから事故原因を特定するのは困難が多いという。
八潮市の事故では、もちろんトラック運転手の救出、復旧が最優先だが、しっかりとした事故原因の分析が必須。「地球は子孫から借りているもの」(脚本家の倉本聰さん)なのだ。