トップコラム個性豊かな沖縄の妖怪

個性豊かな沖縄の妖怪

ガジュマル

「妖怪」と聞くと、河童(かっぱ)やカマイタチ、天狗(てんぐ)などを想像しがちだが、沖縄には本土とは一味違った個性豊かな妖怪が存在する。中でも一番有名なのがキジムナーだろう。

キジムナーは、沖縄本島を中心に伝承されてきた伝説上の存在で、ガジュマルの木にすみ着く妖精だ。小さな子供の姿で、赤い髪の毛がチャームポイントのかわいい見た目が特徴的だ。

地域によって独自の伝承が数多く存在するが、一般的にキジムナーに気に入られた人やその家族は栄え、幸福になると考えられている。特に漁師と親しくなることが多く、キジムナーが気に入った漁師は大漁に恵まれるのだそうだ。

ただし、一度でもキジムナーを裏切ってしまうと、運が尽きるだけでなく、祟(たた)りを受けることもあるとされる恐ろしい存在でもある。

恐ろしい妖怪は他にも存在する。「アカマタ」と呼ばれるヘビの妖怪だ。若くて美しい青年に化け、人間(主に女性)を言葉巧みにだまして誘惑し、自身の子供を産ませるという。まるで旧約聖書において、エバを誘惑し、罪を犯させたヘビを想起させるエピソードだ。

一方で、アカマタを神聖視する祭りも存在する。八重山地域では、アカマタ、クロマタ、シロマタを来訪神の三柱と位置付け、豊作や大漁を願う祭りが現在でも行われている。

これらの祭りは基本的に島民以外の参加は許されておらず、録音や写真・動画の撮影はおろか、内容を口外することも禁止のため、詳細は公になっていない。

このほか、沖縄では古くから妖怪や魔物など、目に見えない存在を「マジムン」と呼んで恐れてきた。家の玄関や石垣に置かれたシーサーや石敢當を見ても、沖縄の風土に根付いた妖怪文化を感じ取ることができる。

(K)

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