「来年は大東亜戦争終結から80年という節目の年」と、昨年は政治もメディアも国民を煽(あお)っていた。年が明けて1カ月が過ぎたが、あの勢いはどこに行ったのか。
毎日、新聞に出る「首相の1日」には、目を通している。今までの首相と大きく変わったのは、この紙面の広さが約2倍に増えたことだ。多い日は1日に、午前20人午後30人と約50人近い人と会っている。やっと公邸に入居したと思ったら、読書や休憩の場所として、議員宿舎はそのままにして使うと。
世界が大きく動いている今、首相の年頭記者会見記事を読み、この大変な節目の年に一体何をしようとしているのか、具体的な政治戦略が見えない。1月6日午後、伊勢の神宮に参拝し、神宮司庁での記者会見記事からも見えない。「改めて平和について、そして平和国家日本の在り方について国民の皆様と共に考える年にしていきたい」とある。なるほど、それで多くの国民と会っているのか。
80年前、GHQ(連合国軍総司令部)が起草し、占領下の日本に与えた今の「日本国憲法」では、世界の動きに対し、普通の国としての対応はできない。
GHQの復讐(ふくしゅう)裁判と言われた「極東国際軍事裁判(東京裁判)」の結果や、GHQが出した「戦争責任広報計画(WGIP)」、「報道規則30項目」がいまだに、学校教育や報道世界で生きている。
「皇紀2685年、戦後80年の節目の年です。今年こそ目覚めて憲法を改正し、日本の歴史と文化、伝統教育を通じて独立主権国家として生まれ変わります。万一の時は、国民生活、領土、領海、領空を守れる国防軍を憲法で明確にし、1日も早く普通の国にします」と言える首相がほしい。
もし台湾に中国が動き、南シナ海、東シナ海のシーレーン(海上交通路)が封鎖されたら、我が国はどうなるのか。尖閣諸島、与那国島に、中国海警船が天候不良を理由に入港し、武器を持った民兵が上陸したら、海上保安庁では対応できない。中国は軍隊でない自衛隊が動くのを待っている。
有事に、日本の国民生活を守るためには、同盟国との情報を平時から共有し、原油や天然ガスなどのエネルギー資源を中東から運ぶ航路や、本土から関係諸国に至る航路が守れる態勢をつくらなければ、我が国の国民生活は継続できない。今のままの憲法では、自衛隊は何もできないことを政治家は学んでほしい。
節目の年に、昭和21年の歌会始で昭和天皇がお詠みになられた御製を思い出す。
ふりつもる み雪にたへて いろかへぬ
松ぞををしき 人もかくあれ
(呑舟)