トップコラム米国首都で航空機事故【上昇気流】

米国首都で航空機事故【上昇気流】

1月30日、米ワシントン上空で起きた旅客機とヘリの衝突事故後、ポトマック川の捜索を行う救助隊(AFP時事)

世界最高のハイテク国、米国の中枢である首都ワシントンの近郊で米軍ヘリコプターとアメリカン航空の航空機が空中衝突した。運航本数が多く、混雑した空域だが、よく管理されたゾーンで互いの目視も可能だったというから驚きが先立つ。

事故原因としてヘリのパイロットや管制官の不注意が挙げられているが、よく取り仕切られた空域で今回のような空中衝突が発生するのは、小さな操縦ミス、判断ミスが積み重なったことによる場合が多い。

それらのミスは人間の心理や精神活動の脆(もろ)さの結果として生じるとみられる。米運輸安全委員会は、米国の全公共交通における事故・重大インシデントのうち約20%に疲労が影響した可能性を指摘している。

いかにハイテクを駆使した各種の危機管理のシステムが稼働していても、乗員の判断ミスの連鎖はその安全性を帳消しにしてしまう。疲労時や急場の人間の精神活動や肉体的特性についてはまだ謎が多く、解明が急がれる。

一方、人間には思わぬ危機を回避する能力もある。俗にいう反射神経のことで、例えば路上で躓(つまず)いて倒れ込んだ時、その間0・何秒あるいは0・0何秒だが、大けがを回避しようとする心理的かつ肉体的な対応能力がある。

人間の心と体(物質)の相互関係をさまざまな方面からさらに追究すれば、公共交通などの安全性向上にも応用することが可能だろう。システムが複雑になるほど、全体を調節する人間の役割は重要になる。

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