
「芸能人は特別」と世間では見なされているようだ。特別扱いされるのであれば、彼らは権力者でもある。撮影現場で「〇〇(有名芸能人)さん入ります……」の声が響くと、有名芸能人以下の芸能人やテレビスタッフが直立して迎えるという話はよく聞く。
有名芸能人の個性もいろいろだ。このような慣習を「気持ちいい」と思う人もいるだろうし、「こんな気持ちの悪い儀式はやめてもらいたい」と考える人もあるはずだ。
「気持ち悪い」と感じながらも「これが芸能界の慣習なんだろう」と考えて仕方なく従うケースもありそうだ。有名芸能人なのだから「こういう儀式はやめたらどうか?」とプロデューサーあたりに言えばいいのだろうが、そんなこともないまま続いているようだ。
芸能人が一般人を超えた特別の才能の持ち主であることは紛れもない。ただ彼らも、さまざまなスキャンダルで転落するケースが少なくない。転落しても、才能そのものが消えるわけではない。才能を発揮する場がなくなる(少なくなる)だけだ。
閣僚であれ社長であれ、誰かが失脚すればすぐに次の人材がその地位につく、というような分かりやすいケースは芸能界にはなじまない。
それでも、いずれは誰かが、転落した芸能人の後任になる。半面、大衆は気まぐれだから、有名芸能人の話もそのうちに忘れてしまう。「そういえば、そういう人がいた……」という言葉を何度も聞いたことがある。