
4月の大阪・関西万博の開幕まで2カ月余りになったが、一向に盛り上がる気配がない。前売り券の販売が伸び悩む中、大阪府の吉村洋文知事(日本維新の会代表)が石破茂首相に改善への協力を要請した。
インターネットの時代に万博そのものの魅力が薄れていることもあるだろう。しかし、会場に足を運んで初めて得られるものは多い。前回1970年の大阪万博では、米国のアポロ12号が前年に持ち帰った月の石がアメリカ館で展示され、大きな目玉となった。
今回は、日本の南極観測隊が発見した「火星の石」が展示される。2000年に昭和基地から350㌔のやまと山脈付近で見つけた隕石(いんせき)で、水と反応した痕跡がある。「いのち輝く未来社会のデザイン」の万博テーマを象徴するものとして展示するというが、果たして「二匹目のどじょう」となるかどうか。
前回は「人類の進歩と調和」というテーマが無理なく国民に受け入れられた。岡本太郎がデザインした「太陽の塔」がシンボルタワーであると同時に広告塔ともなって人々を呼び寄せた。
急速な科学技術の進歩と国際化の中、万博に行かなければ世の動きに取り残されるような雰囲気が生まれた。国民的なお祭りだった。
マスメディアも冷淡でも懐疑的でもなかった。今回は政治的には大阪が拠点の維新が主導したこともあり、大阪・関西地方のお祭りとしか受け止められていないのではないか。政府のテコ入れがカギになるだろう。