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大歓迎される若い匠 韓国から

親しくしている韓国人男性の息子さんが先日、勤務していた都心の飲食店を辞め、地方に行って働きだした。職場は大型病院の建設現場。住み込みの「木匠(大工)」として一から仕事を教わる傍ら、「木工指導師」の資格を取る勉強もしている。早朝から現場に行き、夜12時すぎに仕事が終わるのも珍しくないという。彼に話を聞くと、「一人前の木匠になる」のが目標だという。体力的にしんどくても、やりがいがあるため、生き生きとしていた。

韓国は人口密集の大都市圏では狭い敷地に数多くが住めるように、住宅は「上に上に」と高層化し、衝撃や火災に強い鉄筋コンクリート造りが主流だ。戦争などで山林が減ったこともあり、木造家屋が少ない。それが近年、自然志向で屋内インテリアや家具を中心に木工が人気だ。木匠は何十年もの間、林立する高層マンションの陰でなり手が見つからず、高齢化が進んだ。そのため知人の息子さんのような飛び入りの若者は大歓迎されるのだ。

韓国でも木造建築技法は何百年も継承されてきた。朝鮮時代最後の棟梁(とうりょう)と言われる裵喜漢氏は、植民地時代だった少年期に日本人大工から仕事を学び、朝鮮宮殿建築の第一人者に弟子入りした後に独立。古宮修理や伝統家屋(韓屋)の建築、寺院建立を手掛け、50坪程度の家なら図面なしに建てられたという。だが、後継者がいなかった。職人が注目されず、技の継承が少ない現代の韓国で、木匠が必要とされ始めたのは幸いかもしれない。(U)

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