トップコラム最強寒気の中で迎えた立春

最強寒気の中で迎えた立春

メジロ

旧正月(先月29日)が過ぎ、寒気の中で昨日(3日)、二十四節気の1番目となる立春を迎え、いよいよ名実ともに新年(乙巳=きのとみ=の年)が動き始めた。これに伴い、心に強い印象が残った三つの出来事があった。

第一は、トランプ米大統領の就任だ。何よりも就任直後から1週間で30を超える大統領令に署名したという。行政府と軍への命令だから、実際にすべて実現するわけではないだろうが、それにしても世界的に波紋が広がりそうな公約まで次から次へと実行に移した。

政治をやるなら、それくらい言ったことに責任を持ち行動に移すべきだ。大統領制と議院内閣制、党内・議会の勢力基盤など日米に違いはあるものの、就任早々に核心的な公約・発言を反故(ほご)にしたわが国の首相との対比があまりにも鮮烈だった。

第二は、中居正広氏とX子さんとのトラブルを巡るフジテレビの会見だ。休憩を挟んで10時間24分にも及んだ。フジ側は「社として人権に対する意識の不足」があったことを認めたが、集まったユーチューバーやメディア関係者の能力や人権意識もとんでもなく低いことが露呈した。同じ事柄でも正反対の言説まで出回るメディア情報(既存メディアだけでなくネットも含めて)について、主体的に読み解く力(メディアリテラシー)が本当に必要だと痛感した。

最後に28日午前、埼玉県八潮市で起こった道路陥没事故。わずか数秒前に生まれた穴に落ちたトラックの運転手は、約3時間後まで呼び掛けに応答があったというが、その後、応答がなくなっている。

地下に巨大な下水管があり、崩れたコンクリートの構造物や土砂、汚水が徐々に吸い込まれる悪条件ではあっても、なぜ人命を救えなかったのか。都市化された社会の脆弱(ぜいじゃく)さを目の当たりにし、一種の虚しさを感じさせられた。今冬最強の寒気の向こうに暖かい春が待っていることを信じたい。

(武)

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