トップコラム揺れる英国紳士クラブ【上昇気流】

揺れる英国紳士クラブ【上昇気流】

サビル・クラブ(Wikipediaより)

英国には、会員制の社交クラブが多くある。大半が紳士クラブとして発足したが、近年は相次いで女性の入会を認めるようになった。そんな中、名門クラブの一つ「サビル・クラブ」は、総会で女性の入会を拒否し続けることを決めた。

社交クラブは英国の上流社会と文化の砦(とりで)と言ってもいい存在だ。文化が人と人との交流の中で生まれることを考えると、単なる社交場に終わらない。

気流子もロンドン赴任中、インタビューを申し込んだ英国教会の聖職者の紹介で、アセニアムというクラブに行ったことがある。主に宗教、学術関係者が会員で、重厚な革張りのソファーや図書室など格式のある落ち着いた雰囲気に魅了された。

設立が1824年。かつての会員には作家のディケンズ、進化論を唱えたダーウィン、画家のターナーらがいる。後で知って驚いたのは、会員の約50人がノーベル賞受賞者ということであった。

女性会員はどうなっているか気になりホームページを見ると、主な会員の一人に英国の女性初の最高裁長官ブレンダ・ヘイル氏がいる。ヘイル氏は「クラブは、おいしい食事とリラックスした雰囲気の中で、ランチ、アフタヌーンティー、ディナーで友人と会うのに素晴らしい場所です」という。

女性たちにもクラブは十分に開かれている。中には、男性限定であることで良さが保たれるものもあるはずだ。それを女性差別だなどと言って壊すのは、あまりに単純な発想というべきだろう。

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