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トランプ大統領の再登板で、米国内はもとより国際社会が戦々恐々の面持ちだ。想定内とも言えるだけに驚かないが、矢継ぎ早に「米国第一主義」に基づく大統領令を連発するあたり、その意気込みは尋常ではない。
就任演説を見ても、自身の暗殺未遂事件を挙げ「私はアメリカを再び偉大にするために神に救われた」と神がかり的な高揚感に満ちていた。自らを「神の代理人」的立場に置き、傲岸不遜との反発も強い。
「神の代理人」に似た役割に「預言者」がある。旧約聖書では出エジプトのモーセら神からのメッセージを伝え世に警告を与える役回りとして出てくる。日本では日蓮や内村鑑三もそれに当たるだろう。
預言者は自分の社会的地位にかかわらず神の啓示を受け、これを絶対的な神託として伝えるから、世人からすれば「上から目線」の傲慢な姿に見える。預言者の多くが迫害を受け、時には殺害された例もある。
時の為政者、有力者に「預言」することで地上での改革を促すから、いきおい言葉が激しくなる。それが受け入れられなければ神が「罰」を与えるか、その犠牲の積み重ねで世人が覚醒することになる。
神ならずとも預言者が地上でそれを遂行できる絶大な権力を同時に持つなら話が早い。米国は相対的に衰えたとはいえ、いまだ世界の超大国だ。その意味でトランプ氏は史上最強の権力を持った「預言者」と言える。問題はそれがどこまで神の意志に沿っているかどうかだ。