
書店ではこの時期、話題の芥川賞や直木賞の受賞作家の本が並べられていることが多い。やはり売れ筋なのだろう。店頭近くの目立つ場所にある。
新刊や話題の本のコーナーは、入れ替えもあってハッと気になる本があったりするから面白い。これに対し、あまり動きがないのが去年の秋あたりから手帳や日記が置かれた平台。手帳は相変わらず種類が多いが、それに押されるような日記コーナーも充実している。日本人が日記を好きだからということもあるだろう。
歴史的証言が記録されるなど時代の空気をよく表しているのは、平安時代の貴族の日記。行事や儀式は先代の日記でやり方を確認した。貴族の家の存続に大きな役割を果たしていたので、戦乱にあった時は何よりも日記を抱きかかえて避難したという話もある。
日記で思い出すのは「三日坊主」という言葉。張り切って日記をつけようと思って買い求め、何日か書いて終わることはよくある。初めは日記に残しておきたいと思うことがあっても、だんだん書く内容が浮かばずにやめてしまうというパターンだ。
今は紙に書かなくてもスマートフォンに記録できる。ただ、若い世代の間で流行している絵文字や記号、独特の言葉遣いは暗号のように見える。後世の人が読んでも果たして理解できるかどうか。
歴史的な記録として捉えるのは難しい気がする。もっとも、日記は自分のために書くものだから余計なお世話かもしれない。