トップコラム公共交通無料化でくすぶる煙 タイから

公共交通無料化でくすぶる煙 タイから

タイは首都圏での大気汚染緩和を目指して、公共交通機関の利用を促すためバンコクの高架鉄道や地下鉄、それに路線バスなど公共交通の運賃無料化を実施した。大気汚染の最大要因である自動車の利用減少が目的だった。

期間は25日から31日までの期間限定で行い、1日当たりの電車利用者数は約5割増え、自動車利用者数は約1割減った。

バンコク都庁の調査によると、公共交通無料化政策を施行する前日と比較してバンコク全50区での微小粒子状物質(PM2・5)濃度が、3分の1まで減少。さっそくスリヤ副首相兼運輸相は、無料化延長方針に意欲を示し、閣議で現在の1億4000万バーツ(約6億3000万円)から約2倍の3億2900万バーツ(約14億7800万円)への予算引き上げを提案した。

ただ一方で、地方からは「全国民から集めた税金をバンコクだけに使っているのはどうか」との疑問の声も浮上してきている。また「1億4000万バーツで空気清浄機を購入し、全国の学校に配布した方がよっぽど効果的だ」との批判論も聞かれる。

いずれにしても一過性の政策ではなく、抜本改革が必要だ。

本来、高架鉄道や地下鉄も、世界一と言われた渋滞都市バンコクの汚名を挽回する手段として建設されたものだった。次は排ガスがない電気自動車(EV)に期待を寄せ、EV工場建設に優遇措置を決めたものの、昨年7月に東部のラヨーンに建設された中国製EVのBYD工場では在庫の山ができているだけだ。(T)

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