トップコラム男女の溝広がりに警鐘 フランスから

男女の溝広がりに警鐘 フランスから

フランス男女平等高等評議会(HCE)が1月下旬に明らかにした調査で、フランスの若者の間で、男女の溝が広がっていると警鐘が鳴らされている。

夫と妻が平等に料理を作るまでには至ってはいないが、配膳や皿洗い、掃除は夫の仕事という家庭は多い。ただ、今回の調査対象になった15~24歳の若い女性のほぼ全員(94%)が「女性であることは男性であることより厳しい」と答えたのに対し、男性の方は68%にとどまった。

2017年にセクハラ問題で「ミートゥー」運動が米国で起きて以来、女性が差別や人権侵害を主張するようになった半面、若い男性は、社会的プレッシャーが強くなったことで保守的かつ女性蔑視的な傾向が強まっているという皮肉な結果が、世論調査会社Ifopの調査で明るみになった。

驚くのは今回の調査で18~24歳の男性の35%が「男の役目は外に出てお金を稼ぐこと、女は家事と家族の世話をすること」だと答えており、保守化傾向が強まっていることだ。

米ワシントンで大統領就任式を終えたトランプ・ファミリーが伝統に従った聖公会の教会の礼拝で、女性司祭が移民の大量強制送還はキリスト教の価値観にそぐわないと強く再考を迫ったのを見て、フランスに住むカトリック教会に通う中年の女性が「女性司祭が大統領に説教するのに強い違和感を覚えた」と言ったのもフランスの保守的一面を見る思いだ。

フランスは女性の人権が尊重され、自由というイメージが世界に広まっているが、そうでもないことが今回の調査で浮き彫りになったのかもしれない。(A)

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