トップコラム「常識の革命」を日本でも【政界一喝】

「常識の革命」を日本でも【政界一喝】

人の性別は男性と女性の二つだけ――。国際政治の最高権力者、米大統領に再任されたトランプ氏が1月20日、就任演説で放った「常識の革命」を象徴する文言だ。

演説では、昨年の選挙運動期間に、大勢の支持者を面前にしたスピーチの最中、遭遇した暗殺未遂事件についても語った。首を自然とわずかに傾(かし)げたことで、弾丸は耳を損傷するにとどまった。

瞬間、トランプ氏は生かされた自身の命の存続を確認し、「米国を再び偉大にするために神に救われた」と直感した。創造主の意思を込めたその意味付けには、今日確信を深めているとも表明した。

九死に一生を得た体験から、生かされた命の価値を見つめてこそ、その命を産み落とした父親と母親に思いを馳(は)せ、人間社会が男性と女性からできている実像への思いを強めたであろう。

常識の革命を推進する、トランプ氏の法的手段に特徴的なのは「大統領令」だ。「執行権は米大統領に属する」とするシンプルな合衆国憲法の条文に基づく。連邦政府や軍に向けた行政命令となり、議会の承認を経ず、法的拘束力を即座に発揮する。

4年のブランクを経、満を持して就任するや、トランプ氏は数多くの大統領令に署名し、即効性と共に、前バイデン政権の失政課題を覆していく。

男性と女性のみとする性別規定の大統領令は、多様性、公平性、包摂性(DEI)政策の大転換を意味する。

LGBTQの性的少数者への配慮など、表向き人間味を醸し出し、好印象を与え得るDEI。だが、少数派への配慮は、特権の付与へと目的を逸脱し、常識を逆差別、それを武器化させてまで正当化する醜態を晒(さら)していた。不法移民を増やし、治安を悪化させ、結局、社会の混乱を招くに及んでは、限界と欺瞞(ぎまん)を露呈していたのだ。

その行き過ぎを是正するため、常識を旗印に、マイノリティーの尊重という元来の目的を保障していく。秩序を取り戻すのだ。

日本では前岸田文雄政権が、押しの強いエマニュエル駐日大使を通じて、社会にDEI浸透を試みたことは自明だ。一昨年のLGBT理解増進法を表向き議員立法、実質は自身による裏からの支援で通過させ、党内保守層の支持を失った。

米国社会で潮目が変化したことも分析できず、バイデン政権追従の政策を、「次期石破茂政権でも継続を」と願った。大局観の欠如への非難を免れまい。

常識への脅威は、家族の価値観解体への脅威でもある。

もはや米国の新しい潮流に逆らう、かの選択的夫婦別姓制度を、日本では左派政党、左派政治家らが強引に法制化しようと今国会で画策している。だが世論調査の方法に「旧姓の通称使用」の選択肢が次第に定着、これが民意だとの統計も流布されてきた。

国民は民法750条に基づく夫婦同姓の意義を、戸籍制度の価値と共に確認し、かつ深化させなければならない。国会は民意の採用を常識的に進め、多くの女性の不便にも十分補完的に配慮を尽くす法制化を実現すべきだ。

むしろこれをきっかけに、日本でも常識の革命を推進したいものだ。すなわち、日本の伝統的な家庭の価値観を見つめ直す機会としたいものだ。(駿馬)

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