トップコラム「楽しく」も時と場合【上昇気流】

「楽しく」も時と場合【上昇気流】

優勝した大相撲初場所の千秋楽から一夜明け、記者会見する豊昇龍=27日、東京都台東区の立浪部屋

大相撲初場所は大関豊昇龍が優勝決定ともえ戦を制して2度目の優勝を果たし、横綱昇進をほぼ確実にした。9日目までに3敗を喫したが後は負け知らず。そのきっかけは、師匠の立浪親方(元小結旭豊)の「楽しくやれ」の言葉だった。

ただ千秋楽の土俵では、勝負への執念とすさまじい集中力を見せた。本割を含め3回続けて勝ち抜き、実力と精神力を証明。横綱への道を開いた。

一方、本割で先頭を行く金峰山を下し、決定戦に進んだものの、豊昇龍に苦杯を喫した王鵬。決定戦に向かう花道では思わず笑みも浮かんだが、「楽しいという気持ちが勝ってしまった」と心構えが大関に及ばなかったことを反省する。

「楽しい」という言葉が図らずも、優勝を争った両力士の口から出た。何事も楽しい結果を望まない人はいない。肩に力が入り過ぎるのも良くない。しかし、いざという時は、緊張感と集中力を最大にしなければ本当の楽しさは手にできない。

石破茂首相は施政方針演説で「楽しい日本」を掲げた。首相が目指す国家像としては、あまりに没理想主義だ。一般受けを狙ったのかもしれないが、共鳴する国民は少ないだろう。

外交安全保障、少子高齢化など難問山積の国家の首相から出てくる言葉とは思えない。空気を読んでばかりではいけないが、あまりに空気が読めていない。「令和の列島改造」を本当にやり遂げようとするのなら、豊昇龍のような気迫と集中力で取り組むべきである。

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