トップコラムグルメ番組の「褒め言葉」【上昇気流】

グルメ番組の「褒め言葉」【上昇気流】

グルメバラエティーでお笑い芸人やタレントが、寿司(すし)であれ刺し身であれ、生魚を食べた時のコメントのパターンがある。必ず「臭みがない……」と言う。もちろん芸人は、良い意味で言っている。悪意があろうはずはない。昨今の芸人の間では、そういう褒め方がはやっているのだろう。

はやりは仕方がないが、「こんなコメントは、お店の人にとってはたまらないだろうな」と思う。料理人は「臭くないのは当たり前じゃないか」と思っているだろう。が、テレビカメラで撮影されている以上、ここは黙ってニコニコしているしかない。

まっとうな料理人にとって、生魚に臭みがないのは当然だ。「臭みがない」などと言う芸人は、臭い魚ばかり食べてきたのだろうか? と余計なことを考える。

そういえば、かつてカツオの刺し身を買った。ビニールを剥がすと臭い。刺し身ではとても食べられないから、焼いてみたが、臭みは変わらない。結局、廃棄した。そうした経験はごく稀(まれ)にあるが、鮮魚がしょっちゅう臭いことはない。

タレントが褒めたはずの言葉が、料理店にとっても、テレビで見る側にとっても結果として不快な印象を与える。「臭みがない」などという余計なコメントは不要。普通に「新鮮」「おいしい」ぐらいでいいではないかと思うのだが。

女性タレントは何を食べても必ず「ウーン」と言う。10年ぐらい前から始まったように思われるが、こちらもそろそろ終わりにしてもいいのでは。

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