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「僕が初めてMLB(米大リーグ)に挑戦した年に、この日を迎えることは地球上の誰も想像できなかったと思う……言葉では言い表せないほどの気持ち」――。米野球殿堂入りを果たしたイチローさんの言葉だ。
1年目、いきなりア・リーグ首位打者、盗塁王、新人王、最優秀選手(MVP)とタイトルを総なめした。「日本で7年続けて首位打者を取ってのタイミング。日本人野手の評価は僕の1年目で決まる、そういう思いを背負ってプレーした記憶がある」。
鋭くヒットを打ち、そして走る。ホームラン打者が何より重んじられるパワー野球全盛の大リーグに新風を送り込んだ。バットコントロールの巧みさに剛腕投手らも舌を巻いた。
グラウンドに入ってから一連の練習メニューを律義にこなす。バッターボックスに入るまでの動作には、イチローさん独特の美学から生まれた流儀があった。
10年連続200安打、年間262安打のメジャー記録などは、そういったイチロー流を貫いて初めて達成された。その姿は剣の道を究めようと精進する孤高の剣士を思わせる。イチローさんには、明らかに侍の精神的DNAが流れていると感じる。「日本人=サムライ」のイメージを持つ米国人の方がその印象をより強く持ったのではないか。
そんなイチロー流を貫いて、世界のトップの仲間入りをしたことは、プロ野球、スポーツに終わらない文化的な出来事であり、金字塔と言っていいだろう。