
小紙は今年で創刊50周年。これを記念する新年会が開かれ、新たなスタートを切った。そのお祝いとして「紅白」の饅頭(まんじゅう)が配られた。お祝いの席に欠かせないものとしては定番だが、改めてなぜなのだろうかと不思議に思った。
その由来は、源氏と平氏が戦い、源氏が勝利した源平合戦という説がある。源氏が白、平氏が紅の旗を掲げたことが紅白の始まりのようだ。とはいえ、戦争がお祝いとは結び付きにくい。
もう一つの説としては、赤子の誕生を意味する紅と死んだ時に着る死装束の白というものもある。こちらも誕生と死という対立するものである。ここには日本人の死生観が反映しているのかもしれない。生も死も人生の真実であることは間違いない。
日本は自然が豊かで春夏秋冬のサイクルがはっきりしている。そこから生と死というものをありのままに受け入れる死生観が生まれ、これが紅白饅頭が縁起物となった背景にあるとも言えそうだ。
お祝いはこれまでの無事を喜び、そして今後の艱難(かんなん)を覚悟することでもある。その意味で、生と死を象徴する紅白で飾るのは不思議ではない。生と死は硬貨の表と裏のようなものだからである。紅白饅頭が選ばれたのには、餡(あん)の原料の小豆が邪気を払い、丸い饅頭が家内円満などを象徴するということもある。
饅頭で思い出すのは、落語の「まんじゅうこわい」。怖いものを逆手に取った笑い話だが、今年がそんな年になるように祈りたい。