トップコラム韓国空港で航空機事故【上昇気流】

韓国空港で航空機事故【上昇気流】

12月29日、韓国南西部・全羅南道の務安国際空港で、炎上する旅客機(AFP時事)

韓国南西部全羅南道の務安国際空港で179人が死亡した旅客機事故。地に胴体を滑らしてなすすべなくコンクリートの壁に激突し大爆発するさまは、あまりにむごたらしい。何が起こったのか、唖然(あぜん)とさせられた。

機体が着陸態勢に入ってもスピードを落とすためのフラップが作動せず、車輪も出てこない、ブレーキも利かない――こんなことがあるのか。航空専門家によると、今日の航空機は、システムを連結させる油圧系統が鳥と衝突する「バードストライク」ですっかりやられることはない設計になっている。

では想定外の大きさの鳥の衝突だったのか、あるいは設計段階で何らかのミスが内包されていたのか? 事故機のボーイング737-800型機を製造した米ボーイング社や米運輸安全委員会の要員が急遽(きゅうきょ)、訪韓した。

もう一つ管理・整備の問題が当然考えられる。すでにSNSに事故機を運航していた済州航空の日頃の整備不全を言い立てる声が多く出ている。しかし完璧な管理、整備は事実上あり得ないのと同様、その不首尾で今回のように全てのシステムが一挙にダウンすることは考えにくいという。

滑走前後の機長、副機長の対応はどうだったのだろう。咄嗟(とっさ)の善後策に思い至らず、衝突の衝撃緩和のため操縦桿(かん)で機首を調節することさえ叶(かな)わなかったということか。

一瞬にして多数の生命が失われた悲劇は、想像もつかないことが原因で起こったとしか今のところ考えようがない。

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