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日本の作家の中には草木を愛好した人たちが大勢いるが、米国にもいる。ジョン・スタインベックだ。名作『エデンの東』の冒頭で、舞台となるカリフォルニア州サリーナスの自然環境と四季を彩る植物群の紹介がなされている。
ここは二つの山脈に挟まれた細長い草原湿地帯で、サリーナス川がモントレー湾に注いでいる。
スタインベックは子供の頃ここで過ごし、遊びまわり、人知れずに咲く花々に自分で名前を付けていた。
彼の米国旅行記『チャーリーとの旅』(岩波文庫)が青山南氏の新訳で出版され、読んでみると、オレゴン州を南下してカリフォルニア州に入ろうとするところで、巨大なレッドウッドに出合う。
レッドウッドはスギ科の常緑大高木セコイアで、この山域だけに群生する太古の樹木。彼が出合ったのは高さ92㍍で胴回りはアパート1軒分もあった。感動のあまり誰もいない山中で2日間を過ごしたのだ。
一度その姿を見てしまうと頭の中に刻印され、離れなくなったという。
「レッドウッドが発するのは沈黙と畏怖である。信じがたいほどの大きさや目の前でつぎつぎと色が変化していくかのような木肌のせいだけではない。ちがう、それはわたしたちが知っているいかなる樹木とも異なり、べつの時空から遣わされてきた存在なのである」それはキリスト教徒作家の見た創造主のみ手の業だったのだ。
(岳)






