トップコラム空港の「メリークリスマス」フィリピンから

空港の「メリークリスマス」フィリピンから

フィリピンではクリスマスが国家的な祝日として盛大に祝われるが、実は「メリークリスマス」というあいさつが禁止されていた場所がある。

それは、国の玄関口であるニノイ・アキノ国際空港で、入管職員たちは乗客に対しメリークリスマスとあいさつすることを禁止され、毎年この時期に注意喚起されていた。

しかし、今年のクリスマスに晴れてメリークリスマスが解禁された。

同空港は世界空港ランキングで「最悪」と評された経歴があり、特に入管職員の腐敗が指摘され、乗客に大きな不安と緊張を与えていた。

そうした背景から、あいさつが賄賂の要求と誤解されることを避けるため、乗客にメリークリスマスと声掛けをしないよう徹底されたのだ。

実際、一部の空港職員が乗客の荷物に銃弾を意図的に紛れ込ませ、それを口実に恐喝し賄賂を要求するという事件が多発するなど、不信感が高まる要因が存在していた。これにより、ただの季節のあいさつでさえ、賄賂のサインと受け取られかねない雰囲気がつくり出されていたというわけだ。

しかし近年、空港の民営化が実現し、サービス向上を目指す大規模な改革が進められている。メリークリスマスの解禁はこうした改善の象徴とも捉えられる。

このあいさつが再び使われるようになったことで、空港の雰囲気が一新され、利用者の不信感を払拭(ふっしょく)する一歩となることを願いたい。(F)

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