トップコラム統合進むウクライナ避難民 オーストリアから

統合進むウクライナ避難民 オーストリアから

「オーストリア統合基金」(OIF)が発行している雑誌「ZUSAMMEN」2024年秋号ではウクライナ人のオーストリア社会での統合がテーマとなっていた。

オーストリアには現在、約8万1000人のウクライナ人が住んでいる。10年前の14年は約7500人だった。

22年、オーストリアに住むウクライナ人の17%しか現地言語(ドイツ語)が話せなかったが、23年には46%、現在は72・4%と過去2年間で4倍に増えている。ドイツ語ができるようになると、国に戻りたいと思うウクライナ人は年々少なくなり、その数は現在3%にすぎない。22年は30%だった。避難民でオーストリアに来たウクライナ人の75%は大学卒業者だ。ドイツ語ができるようになり、仕事が見つかると、オーストリアに住むことを希望し、帰国したいという思いは薄れていく傾向がみられる。

ウクライナ人の場合、自分たちは難民ではなく、避難民だと主張し、アラブ圏からの難民と同一視されることを嫌う傾向がある。難民にドイツ語を教えている女性によると、ウクライナ人は教育レベルの高い人が多く、ドイツ語学習でも他の生徒より意欲的だという。

ウクライナ人のオーストリア社会への統合度は他の中東・北アフリカからの難民と比較すると非常に高い。ウクライナは正教圏に属するから、西欧社会のキリスト教社会とは同じ文化圏だ。そのため、イスラム教圏の中東のシリアやアフガニスタンからの難民のように「異教文化との衝突」といったことは少ない。(O)

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