
NHKが来年で放送開始100年となるのを記念し、1971年の第22回紅白歌合戦のリマスター版を放送した。それを観(み)て、懐かしさと共に世の中の様変わりを痛感させられた。
トップバッターは「また逢う日まで」でその年のレコード大賞を受賞した尾崎紀世彦、トリは女王・美空ひばり。現在の大物歌手の初々しい姿も見られる。
間に挟まるコントや寸劇にも力が入っている。ザ・ドリフターズ、コント55号らのお笑いあり、会場が東京宝塚劇場ということもあって宝塚歌劇団雪組のラインダンスまで披露される。まさに芸能界総出の大晦日(みそか)の一大イベントだった。
客席に並ぶ審査員は、全国8地区40人から成る。有名人ばかりでなく、例えば腹話術で交通安全教育を行う女性警官ら各界各層の人たちが選ばれている。翌年開かれる札幌冬季五輪の会場スタッフが紹介され、昭和天皇が50年ぶりに訪欧された際の特別機の機長や客室乗務員が、当時の様子を語る場面もあった。
そんな中で醸成される国民的一体感は、今はテレビを観ていてもなかなか味わえない。国民的なヒットソングも生まれにくくなっている。かつてはテレビやラジオで同じ歌を聴いていたが、今は媒体が多様化し、嗜好(しこう)も世代や趣味などによってまちまちだ。
時代の変化のなせる業で仕方のないことなのかもしれない。しかし、この一体感にはただ懐かしいと思うだけでは終わらない大事なものがあるように思われる。






