
「宇宙戦争パニック事件」をご存じの方も多いだろう。1930年代、米国のラジオ劇番組で“火星人襲来”という「臨時ニュース」を信じ込んだ住民が大騒動に陥ったという話だ。メディアへの不信、警戒を論ずる教訓ともされる。
NHKの「ダークサイドミステリー」でも改めて検証されたが、現在ではパニックの事実は否定されている。実際は多くの住民が各公共機関に問い合わせたこと自体がパニック現象と捉えられた面がある。
今ではSNSでさまざまな情報があふれ、偽情報や未確認情報の拡散に手を貸してしまった苦い経験もある。「情報リテラシー」が叫ばれるゆえんだ。
一方、青山学院大学教授の福井義高さんは「憂慮すべきはソフトな言論統制」(産経「正論」12月5日付)と警鐘を鳴らす。注意を払うべきは情報伝達の相違ではなく、既存メディアが取り上げる意見の幅の狭さであるという。
都内でトランプ次期米大統領の宗教顧問もメッセージを寄せた「日本の信教の自由と民主主義の危機」講演会が開かれた。旧統一教会など一部新宗教を巡る報道や政府の対応について「極めて偏っており、現役信者の声は一切反映されていない」現状が報告された。
あらゆる立場から多様な情報が提供されるのが望ましい。「宇宙人襲来」はすぐに真偽が判別する。だが、「ソフトな言論統制」という現状は形を変えた“静かな情報パニック”と言えるのではないか。自戒したい。






