沖縄県はこのほど、2023年の県人口動態統計の確定数を公表した。それによると、県内の合計特殊出生率(女性一人が生涯に産む子供の数の指標)は全国平均の1・20を0・4ポイント上回る1・60で、39年連続で全国1位となった。最下位となった東京の0・99と比べると実に1・5倍以上の差が開いている。
出生数は1万2549人で、前年よりも1000人ほど減少したものの、50年連続の全国1位を維持した。
なぜ沖縄の出生率はこれほどまでに高いのだろうか。この理由については諸説あるが、有名な説を幾つか紹介する。
まずは地域的特性によるものだ。沖縄は家族や地域社会の結び付きが強いことが挙げられる。シーミー(清明祭)やウークイ(旧盆)など、親族が集まる機会が多いことや、地元青年団などのコミュニティーがしっかりと機能しているため、親族や近隣住民から、子育てに対するサポートを受けやすい環境であると考えられている。
また、先祖崇拝を重んじる伝統的価値観が残っており、子供を持ち、血の繋(つな)がりを残していくことを重視する人の割合も高いという。
次に数字から読み解いてみると、県内では女性の若年層の既婚者の割合が全国を上回っていることが分かる。若い既婚者が多いため出生数も高くなっているわけだ。
一方で、結婚前に出産したり、早期に離婚するなどの理由で、シングルマザーの割合が高いのも事実だ。こうした理由による子供の貧困やヤングケアラーの問題なども社会課題となっている。
これらの問題を解決し、子供を安心して出産・育児できる家庭の基盤が整ってこそ、出生率1位を真に誇れる沖縄になれるのではないか。
(K)