「三越にはストもございます」――。百貨店史上初のストライキは昭和26年12月に三越百貨店で行われ、当時こんな言葉が流行(はや)った。それをもじって言えば「あなたの町の民医連の病院にはストもございます」。
民医連とは共産党系の医療機関の組織で、正式名称は全日本民主医療機関連合会という。「あなたの町の――」を売りにしている。その一つ長野中央病院(長野市)で12月初めにストがあった。
経営側も組合側も共産党の岩盤支持層だが、冬のボーナスを巡って折り合わず、組合員およそ150人が「年末闘争団結して頑張ろう」と気勢を上げた(「テレビ信州」ネット版)。
民医連の病院のストは珍しい。何せ昭和28年に共産党系の直系診療所や病院の医師、看護師らで組織された「忠実な日共路線の実践団体」(『左翼100集団』全貌社)で、団結を誇り選挙では尖兵(せんぺい)を担った。
「共産党には土地もございます」。そんなニュースもあった。総務省が11月に公表した政治資金収支報告書によると、昨年1年間に約17億2500万円の土地を売却し党資金にしていた(産経12月3日付)。大した地主だ。
党中央発行の『共産主義読本』(昭和41年初版)には「個人農の立場は(土地所有ゆえに)資本家の立場と共通しており、社会主義と両立しません」とあった。それが今や共産党自身が土地持ちで、ストも打たれている。時代は変わった。いっそ「ブルジョア共産党」とでも呼ぼうか。