若い時に、古参の新聞記者から質問された。「毎日、新聞はどこから読んでいるか?」と。私は、「まず1面のタイトルを見て、社説を読む。その後は川柳欄、マンガですかね」と答えた。すると、「川柳は良いが、まず『首相の1日』を読む。そして川柳だな。首相が毎日、誰と顔を合わせ、どれくらいの時間を使っているかをメモしておけば、今の問題は何か、政府はどうしようとしているかが分かる。そして川柳は何を詠(うた)っているのか、その半分くらい理解できなければ、時代に遅れていると思え」と。
石破茂首相に代わって2カ月。しかしいまだ、官邸に入居していない。「〇時〇分赤坂衆院議員宿舎発。〇分、官邸」で始まり、「△時△分、東京赤坂の衆院議員宿舎」で一日を終わっている。「官邸に、入居しない理由は何?」と聞きたい。首相としての立ち位置、その分を理解していない。
国の最高指揮官として、就任初日から官舎たる官邸に入居するべきである。世界の大統領並みに、世界の情報収集・報告、そしてその身体の保全は守られているのだろうか。
自衛隊の陸海空幕僚長をはじめ、各級指揮官は、自宅が官舎の隣にあっても、発令日からその指定官舎に入居する。私的時間は、その日からない。そんなことは、石破首相は、誰よりも分かっていると思ったのに。
国を動かす大問題が起こっても不思議でない今日、何か生起した時に、第一報は携帯電話ですか。着替えて、車を呼んで官邸に向かう。発動が大きく後手に回る。国益を守れない。スタッフからの、助言はないのだろうか。
内閣総理大臣の親任式後、官邸でのレッドカーペットを敷いた階段での記念写真を見て驚かれた方も多いだろう。石破首相のモーニング姿は、見たこともないあまりにも醜い恰好(かっこう)だった。こんな恰好で、天皇陛下からの親任式、認証式に臨んだのかと。着替えて、出発する時に、誰も見ていなかったのか。見送ったスタッフは、誰も注意しなかったのか。官邸からなら、誰かが、モーニングでベルトは、ズボンの丈が少し?モーニングの袖丈が?と気付いたであろうが、まさか議員宿舎から直接、宮中に向かったのかと。
11月29日の新聞に、「ポスト石破?勉強会発足へ」と、囲み記事が出ていた。海上自衛隊の掃海艇「うくしま」の火災・沈没事故で、豊後水道で予定されていた「掃海訓練」を中止したとの報道を見て、何故・誰の判断かと疑問を持った。指揮官としての分と、立ち位置を持っているなら、年に一度の日米共同訓練は、周辺国に示す抑止力に繋(つな)がっているので実施すると、判断すべきだと言いたい。(呑舟)