トップコラム高浜原発1号機が運転50年【上昇気流】

高浜原発1号機が運転50年【上昇気流】

高浜原発1、2号機の長期運転対策で交換される高圧給水加熱器(関西電力提供)

関西電力の高浜原子力発電所1号機(福井県高浜町)は先月、国内の原発で初めて運転開始から50年を超えた。エネルギー源の確保を求め続けるわが国にとって感慨深いところがある。

7年前、京都方面から車で北上してこの高浜町で取材した。当時、再稼働はまだで、地域経済も活気がなかった。原発関連事業を引き受ける地元の中小企業だけでなく、一般の小売店の主人らも同様だったのを思い出す。

原発再稼働を声に出して願う人は少なくなく、関西圏へのエネルギー供給に対する自負が感じられた。原発は地元の共有財産であり、安全性の確保も地元住民らの協力なしにはスムーズにいかない。

わが国の原子力利用の始まりは1955年制定の原子力基本法にあるが、この時も成立の背景に国民の大きな期待があった。随筆『長崎の鐘』の著者で被爆者の医師、永井隆は「原爆は決して許せない。このエネルギーを平和のために使わなければならない」と。

また「科学技術によって自分たちで資源を得るんだ」と発言し、多くの人々の共感を得た。その後、原発の活用推進で立地選びが全国的に進んだが、2011年、東京電力福島第1原発のメルトダウンの事故で安全性への信頼が挫(くじ)かれた。信頼回復には当事者らが鋭意努めるしかない。

今、安全性の高い新型炉の実用化、核融合炉開発などが進む。「技術は制御して使う」という科学の原則を踏まえ前に進むことが国民の願いに沿うと思う。

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