トップコラムバンコク知事の朝令暮改 タイから

バンコク知事の朝令暮改 タイから

バンコク都庁は今秋、幹線道路スクンビット通りの一角に自転車レーンを設置した。だが、バンコク都民のブーイングに遭い、チャチャート都知事はすぐに撤回した。

そもそも新たな専用道路を造ったわけではなく、既存の自動車道路の一部を自転車専用にしただけ。それでなくても渋滞都市バンコクは有名なのに、あまり使われもしない自転車専用道路のために、ますます道路が狭くなり、渋滞はひどくなるばかりで、都民の不満が爆発した。メディアが報じた都民の声には「渋滞で車の排ガスだらけの道路を自転車で走るなんてまっぴら」というものもあった。

タイでは、県知事や地方都市の市長は内務省の役人が就くものの、バンコク都知事だけは公選首長だ。だからバンコク都知事は、次期都知事選に向け票田を開拓するためのアピール力が問われてくるわけで、チャチャート都知事が自動車レーンに飛びついたのは、都知事としての実績の一つにしようと思ったということなのだろう。

それにしてもタイで自転車を見掛けることは、あまりない。暑いタイで汗を流しながら自転車を漕(こ)ぐというのは、気持ちいいことを肝要とする「サバーイ」指向の強いタイ人にしてみれば論外だからだ。

それでも自転車に乗ろうというのは、よほどの健康志向の強い人なのだろう。バンコク都民の多くは、ちょっとした距離であってもすぐに三輪タクシーのトゥクトゥクや乗り合いタクシーのソンテウなどに乗り込もうとする。(T)

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