首都バクーで国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が開かれたアゼルバイジャン。この重要な会議のあった国について詳しい日本人は少ない。「第2のドバイ」と言われる経済発展を遂げた国であり、何より大変な親日国である。
中央アジア・コーカサス研究所の田中哲二所長によると、アゼルバイジャンの人たちは日本の経済や文化を高く評価している。パリ五輪で金メダル2個を獲得した柔道など日本由来の武道が盛んで、二つの大学に日本語学科がある。
ギュルセル・イスマイルザーデ駐日大使によると、同国では村上春樹氏の作品が人気で、英訳でたくさん読まれている。何より大使自身の流暢(りゅうちょう)な日本語が親日ぶりを証している。
中央アジアからコーカサス地方にはトルコ系民族の国が連なっている。ほとんどが親日国だ。ウズベキスタンでは大戦後ソ連に抑留された日本人が建設に携わったオペラハウスが大地震でもびくともせず、日本人の勤勉な働きによるという都市伝説が生まれた。
キルギスでは、もともとキルギス人と日本人は同じ民族で、肉が好きな者がキルギス人となり、魚が好きな者が移動して日本人になったという言い伝えもある。実際、両国民は顔もよく似ている。
問題は日本人が、このような親日国が地政学的にも重要さを増す地域にあることをよく知らないことだ。先人たちがつくり上げた対日評価、親日感情を土台に関係をより深いものにする努力が必要だろう。