北海道のJR函館線で、レールの著しい腐食が原因で貨物列車の脱線事故が起きた。札幌-函館間の都市間交通は一時パンク状態となり、人々の足が乱され物流にも大きな傷跡を残した。
事故現場の踏切ではこの9月、超音波検査を実施したところ異常が検知され、その後目視によるレール頭部の確認を行っていたという。しかし、敷板を外しレールの腹部の確認まではしていなかった。
レールなどの整備についてJR北海道は、4年以内の点検でレールに傷があるものの補修の対象とはなっていなかった道内の踏切約220カ所について、再度点検することを検討しているという。地方の鉄道設備の劣化、経営力低下の典型的な例ではないか。
石破茂首相は地方創生を内閣の最重要課題とし、「地方と都市が結び付くことにより都市部の方々にとっても、仕事や学び、余暇を含めた暮らし、人生の選択の幅が広がることになる」と述べた。その言やよしだが今、政府に都市と地方を結び付ける力がどれほどあるのか。今回の事故などは国が関心を持ち、地方交通改善のためにひと働きすべき対象だ。
1980年代、大都市で鉄筋コンクリートの住まい造りが盛んになったが、地方では塩害のため耐用20年と言い立てる学者もいた。
しかしその後、素材の質は飛躍的にアップ、政府も耐用年数の向上を広報し、地方でも鉄筋の住宅建設が広がって地方都市が定着した。地方創生には時代の勢いが必要だ。