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選挙だけでない 司法にもSNSの影響

兵庫県知事選、名古屋市長選の決め手に

街頭演説する斎藤元彦氏=11月16日、兵庫県西宮市(森啓造撮影)

兵庫県知事選の余韻が冷めないまま、11月24日に投開票された名古屋市長選は、河村たかし前市長が代表を務める地域政党「減税日本」と日本保守党が推薦する広沢一郎元副市長が、自民、立憲民主、国民民主、公明の各党がそれぞれ推薦した大塚耕平前参院議員を大差で破り、初当選した。兵庫県知事選も名古屋市長選も、既存政党に対する不信があったことと、インターネットの交流メディア(SNS)が大きく影響したことで共通している。

今後の選挙では、政党・団体の公認・推薦や、地盤(勢力・組織)・看板(評判・知名度)・かばん (資金力)の「三バン」よりも、ニューメディアのSNSやネットをどう使うかが分かれ道となったと言える。時事通信によると、自民の福田達夫幹事長代行は11月25日の記者会見で「明らかにSNS利用が一般生活に広まってきている」と述べ、「政策や政治姿勢を伝える手段として積極的に活用すべき」との考えを示した。

河村たかし氏(右)と同行する広沢一郎氏=10月25日、名古屋市中区(豊田剛撮影)

「批評ドットコム」を主宰する評論家の篠原章氏は、出直し選挙となった兵庫県知事選で斎藤元彦氏が当選した結果をポジティブに捉えている。「メディアから一斉に叩かれる人がいると、それがどんな人物であろうと、『叩かれる側にも“真実”があるはず』と考え、メディアが歩調を揃えて大々的に批判するような報道にはつねに懐疑的だ」というのが篠原氏の持論だ。同氏が表現するところの「型落ちメディア」(オールドメディア)の凋落が実証された。

SNSの力、ネット世論の影響力は司法にも当てはまると分析しているのは、大阪弁護士会の中でも異彩を放つ保守系弁護士の徳永信一氏だ。兵庫県知事選では、言われなき非難を浴びせられているとし、Xの投稿などで斎藤氏を強く支援した。

徳永氏は11月27日、都内で開かれた裁判報告会で、兵庫県知事選で斎藤氏を当選させる目的で立候補したNHKから国民を守る党の立花孝志党首を評価した。「兵庫県議会やメディアが一方的に悪者に仕立てたところ、人間の尊厳をかけて戦った」と見ている。「損得勘定なしで人間としてここで動かないと、自分は人としての値打ちがないと誇りを持って行動する」。このことを関西特有の「浪花節」であり「任侠」だと独特な言い回しで評価した。

徳永氏は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)信者の信教の自由や名誉棄損を巡る一連の裁判で原告代理人を務める。今後、裁判を進めるにあたり、「ヒントが与えられた」とコメント。政治家やメディアによる一方的な評価を、SNSには覆す力があると信じている。(豊田 剛)

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