Homeコラム沖縄軽便鉄道開業から110年

沖縄軽便鉄道開業から110年

県営鉄道20周年記念列車(Wikipediaより)

1914年に沖縄県営鉄道(軽便鉄道)の与那原線が開通してから12月1日で110年となる。これに合わせ11月30日と12月1日、与那原駅舎では各種記念イベントが開催される。開業100周年を記念し復元された同駅舎には当時の写真や資料などが展示されている。

戦前に整備された県内の軽便鉄道は、那覇から本島南東部の与那原までを結ぶ与那原線と、那覇から本島中西部の嘉手納までを結ぶ嘉手納線、那覇から本島南部の糸満までを結ぶ糸満線の3路線が開通し、県民の生活を支えてきた。

当時の沖縄では、徒歩か牛車が主な移動手段だったため、軽便鉄道の登場は県民の生活を一変させた。1921年に皇太子裕仁親王殿下(後の昭和天皇)が沖縄を訪問された際には、与那原線に乗車されたことも記録されている。

戦前から戦時中にかけて、嘉手納から本島北部の名護までを結ぶ名護線の建設計画が何度も浮上したが実現には至らなかった。

その後、熾烈(しれつ)を極めた沖縄戦によって鉄道の大部分が破壊された。以来、現在に至るまで、本島で沖縄都市モノレール「ゆいレール」が開通したことを除いて、鉄軌道は整備されていない。

そのような中で新たな鉄軌道の取り組みが始まろうとしている。那覇市は、鉄道需要の増加や朝夕の通勤ラッシュなど、慢性的な交通渋滞の打開策として次世代型路面電車(LRT)の導入を計画している。市は2030年代の開業を目指し、26年には整備計画を策定、ルートを決定する予定だ。

残された課題は北部地域とのアクセスだ。来年には本島北部・名護市と今帰仁村(なきじんそん)にまたがるテーマパーク「ジャングリア」の開業も予定されており、渋滞解消と新たな交通インフラの整備は、避けては通れない大きな課題となっている。

(K)

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