韓国人がマイホームを手にしようとするとき、真っ先に考える高層アパート(マンションに相当)。不動産価格の高騰を背景に資産価値の高さも魅力的で、後々手放すことまで考え、多額の融資を受けてでも購入しようとする人も少なくない。ところが近年、都心で「単独住宅」と呼ばれる一軒家がにわかに注目を集めている。単独住宅はアパートやビラと呼ばれる集合住宅と異なり、土地付き、庭付き、車庫付きの一世帯向け住宅のことだ。
筆者も以前、ソウル市内の単独住宅に住んだことがある。その家は地下鉄の駅から徒歩20分の小高い丘の上に同じような平屋の単独住宅が数軒並んだ一角にあった。庶民向けの単独住宅は平屋が多く、アパートのように間取りは3LDKが標準。何より日当たりが良いのが魅力だ。お隣さんが近過ぎて窓から眺める外の景色は褒められたものではなかったが、近所の人たちの笑い声や生活音が聞こえてくると、どことなく温かい気持ちになるものだ。
最近では新築の分譲単独住宅として、高所得層向けの「ブロック型単独住宅」が話題だ。アパート団地のように一カ所に同じような単独住宅を集めたもので、「交通の便」よりも「自然が近い快適さ」が一番のニーズになっている。周囲に山があれば、韓国人が大好きな登山ができる。飲み水として今も好まれる「薬水」と呼ばれる湧き水を汲(く)みに、散歩がてら出掛けることもできる。これからのマイホームの理想型になるかもしれない。(U)