HomeコラムSNSを民意の反映に生かせ 【政界一喝】

SNSを民意の反映に生かせ 【政界一喝】

パワハラとおねだり疑惑で兵庫県議会から、全会一致で不信任決議された斎藤元彦知事(47)。疑惑を巡り、大手メディアから連日の如(ごと)く厳しく追及され、政治的に「終わった人」の烙印(らくいん)を押された。だが失職して独りぼっちの境遇から、出直し知事選に出馬すると、県民の支持が劇的に回復し、見事に圧勝、再選された。

不信任決議を受けて辞職せず、「自動失職」したことから生き返った斎藤氏は、新たに4年の任期を「改革継続」に向け、踏み出している。

決議を下した86人の県議一同はもとより、対立有力候補の支持を表明した県内市長会有志22人、また斎藤氏への批判報道一辺倒となった大手メディアは一斉に、兵庫県民によって否定された形だ。

偏る政治報道と事前予想を覆(くつがえ)す選挙結果というテーマでは、世界的選挙イヤーのハイライト、米大統領選とも相通ずる。報道は日米共通して民主党ハリス氏推しに傾き、選挙情勢では接戦が連呼されたが、結果はトランプ氏の圧勝だった。

行き過ぎた多様性の尊重、不法移民容認による治安の悪化などから、3・4億の米国民は4年間の民主党政権にノーを突き付けた。同時に行われた上下院議員選挙を含め、共和党が「トリプルレッド」を達成し、次期トランプ政権はバイデン政権の失政を転換させ、諸外国に大きな影響を及ぼす。

選挙戦情報においては今日SNSが、有権者の総合的判断に資するべく、異なる政治的物差しを提供している。米大統領選でも、兵庫県知事選でも、SNSで得られる情報を加味し、その言論空間での情報交換を活性化させ、有権者はより政治的な自意識を高めて投票を行った。国民主権の選挙において、絶対的プラスだ。

同知事選挙後、日本の大手メディアとその既得権益者らは、司会者、コメンテーター、為政者問わず押し並(な)べて、法制度や信憑(しんぴょう)性を傘に、対SNSへの優位性を語るのに躍起になりがちだ。見苦しく愚かな姿も目立つ。

人間生活の利便、効率、娯楽などを追求して生まれる技術革新は、その開発の原点には悪意の介在が限りなくゼロに近い、と言い切れよう。政治に関して玉石混交のSNS情報だが、フェイク等「負」の側面に気を付けつつ、各個人の能動的な情報収集や、政治への参加促進など、「正」の側面にこそ注目すべきだ。

41%から56%(四捨五入)への投票率の画期的な増加、若者の政治への関心度アップこそ、未来に向けた日本国の持続可能性のために、世論喚起の意義がある。

元来スケジュールになかった兵庫県知事選と併せ、期せずして2024年はSNSの介在による、政治へのより効率的な民意反映を印象付ける年となった。

選挙結果が物語るこうした教訓に学び、政治家は大手メディアとの利権、癒着がもたらす政界の歪(ゆが)みを検証すべきだ。

SNSや動画サイトの利便と効率性は、むしろ選挙のありさまを向上させるイノベーションに役立てるチャンスだ。法的・制度的な不備があれば早急に整備すべきだろう。

国民の政治への関心を高め、投票率を向上させ、民意を反映した政治を実現することこそ、日本の民主主義を発展させるのだ。(駿馬)

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