Homeコラム独居老人と介護ロボット【上昇気流】

独居老人と介護ロボット【上昇気流】

編み物をする高齢女性

65歳以上の単身高齢世帯が、2050年に32道府県で世帯総数の2割を超える見通しであることが厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の推計で分かった。世帯を構成する平均人数も34都道府県で2人を割り込むという。

ある程度予想された数字で、また25年も先のことだという楽観もある。しかし、この推計通りになれば相当深刻な事態だ。同研究所の担当者は「支援の仕組みづくりが重要になる」と指摘している。

老体には、起床から就寝まで毎日の生活習慣の中で何が起こるかしれない。賄い、入浴やちょっとした外出、対話相手など生活に密着した支援が要る。政府はと言えば、介護要員の増員にも限界があり、10年代から家庭内への介護ロボットの導入を立案してきた。

しかし今のところ、国民に周知されているとは言えない。製作を行う企業もごく限られ、開発費も抑えられている。工学博士の吉川弘之氏は「多様な作業ができるように設計された『柔らかい機械』が必要」と著書の中で述べている。

従来の科学技術は堅く、速く、正確で力強くあるべきだとの方向に改良が重ねられ発展してきたが、その転換が望まれるというのである。

介護ロボットはその応用の一つで、良い製品が生まれれば注目され、価格も安定して重宝されるようになるはずだ。今日の複雑な家庭問題の根本的解決の方策ではないが、「柔らかい機械」への展開を日本が世界に示すことができれば素晴らしい。

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