
豊かな湧き水のある池や清流に生息する淡水魚トミヨは、「美しい自然」のシンボルとされる。石川県は自然生息域の南限だが、近年、地下水位の低下などで湧き水が枯れ、生息域が激減してきた。県の「いしかわレッドデータブック」では「絶滅危惧Ⅰ類」に指定され、最も絶滅が危ぶまれる種の一つだ。
能登半島の基部、志賀町末吉地区にある鷺池(さぎいけ)は、自然繁殖地として知られ、10年前に結成された「末吉トミヨ倶楽部」が中心となって、保全に努めている。道路脇には「トミヨの里」と書かれた看板が立っている。
トミヨの生態は独特だ。体長約5㌢で背中に9本前後、脇腹に一対の鋭いトゲがあり、産卵期に際立った特徴を示す。巣作り、子育てをオスが一手に引き受け、水草類を集めて水中に小鳥のような巣を作る。その際、水草の破片を口にくわえて集め、腹にこすり付けて腎臓から出る特殊な粘液で巣を固め補強する。
巣が出来上がると、巣周辺の縄張りを守りながら、お腹(なか)の脹(ふく)らんだメスが現れると求愛のジグザグダンスでメスを巣に誘って産卵させる。
同倶楽部代表理事の田端正敏さんらは毎年一回、炎天下の中で池の中に繁茂したアオミドロを除去したり、周辺に生い茂ったヨシの刈り取りに汗を流している。「水生植物が増えて、以前のような生態系を取り戻せれば、トミヨの生息環境が維持されます」と思いを寄せる。
(仁)






