トップコラム【上昇気流】長田暁二さん秋に逝く

【上昇気流】長田暁二さん秋に逝く

長田暁二さん

サトウハチロー作詞、中田喜直作曲の童謡「ちいさい秋みつけた」の季節になった。この歌が広く一般に知られるようになったのは1962年、NHK「みんなのうた」で歌われてからである。

男性コーラス・グループ、ボニージャックスの美しい歌声、そして藤城清治さんの影絵が印象的だった。その二つが相まって、当時小学生だった気流子にも詩を感じさせた。「みんなのうた」では72年にリメーク放送されたが、62年版の印象は鮮烈だった。

ハチローが東京・文京区の家に植えられていたハゼの木が紅葉するのを見たのが作詞のきっかけという。そのハゼの木は、後楽園駅近くの礫川(れきせん)公園に移植されている。井の頭公園には、中田の直筆楽譜が刻まれた歌碑が立っている。

作品自体は55年に作られ、NHKの番組で発表されたが、その時はレコード化されなかった。それをキングレコードのディレクター長田暁二(おさだぎょうじ)さんが、合唱に最適の曲として見いだし、62年にボニージャックスの歌唱でレコーディング。

これが大きな反響を呼び、その年の「日本レコード大賞」童謡賞を受賞。2006年には、文化庁と日本PTA全国協議会によって「日本の歌百選」に選ばれている。

この歌を日本人の心の歌にした名音楽プロデューサーで音楽文化研究家の長田さんが94歳で亡くなった。長田さんは、倍賞千恵子さんのデビュー曲「下町の太陽」のディレクターも務めている。紅葉の秋の旅立ちである。

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