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盗電にも時代の波 タイから

タイで驚くのは、配電線の込み具合だ。電線が黒い焼きそばのように絡み合っている。その電線の一本を取り上げ、工事をする電気職人には脱帽ものだ。「電気工のブラックジャック」だとさえ思う。今回のコラムは、その電気の話。

タイ警察はこのほど、西部カンチャナブリで盗電容疑で住宅や商業ビルなど13カ所に捜索に入った。

最初に気付いたのはカンチャナブリの地方電力公社(PEA)職員だった。以前は月25万バーツ(約113万円)あった電気使用量が9カ月ほど前から突然、300バーツ(約1350円)程度に激減したことから不審に思い通報した。警察は施設10カ所を捜索して、改造された電気メーターを突き止め盗電を摘発した。

ここまではよくある話だ。通常の盗電は、電気メーターをまたぐ形で電線のバイパスを作り料金を払わずに電力を使用するというものだ。

今回の盗電が異色だったのは、いずれの施設も暗号資産ビットコインのマイニング(採掘)を行っていたとみられたことだった。

マイニングとは、取引内容を承認し、取引を成立させる作業のことだ。この作業によって報酬が取得できる。この作業にマイニング用に改造されたパソコンが使われ、その消費電力が半端ではなく通常のパソコンを大幅に上回っていた。今回の捜索で警察は、合計約300台のマイニング機を押収した。

PEAの試算によると9カ月に及んだ盗電の被害総額は、合計2000万バーツ(約9000万円)に上るという。(T)

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