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沖縄特有の城「グスク」とは

中城城跡

沖縄文化を象徴するものの一つに「グスク」と呼ばれる城が挙げられる。首里城をはじめ、中城グスク、座喜味グスク、今帰仁グスク、勝連グスクが世界遺産に登録されており、文化的価値が高い遺跡として観光客にも根強い人気を誇っている。

形状は本土の一般的な戦国時代の城とは大きく異なり、琉球石灰岩などを加工した石積みの城壁で構成された城郭型の城で、うねるような曲線の城壁が特徴的だ。現在のダム建設などでも用いられる平面アーチ構造と呼ばれる建築技法が使われているため、戦に耐え得る十分な強度を誇った。

これらのグスク誕生の背後には「築城の天才」と呼ばれた護佐丸盛春の存在があった。護佐丸は中城グスクを築き按司(領主)を務めた人物で、当時、軟弱地盤で築城は不可能とされた読谷の座喜味にグスクを建設した際は、独自の積み方(相方積み)を編み出し、城壁を築くことに成功。強度を損なうことなく築城してみせたのだ。

これらの建築技術は、かつて海外からも高い評価を受けた。1853年、米国のペリーが来日した際、琉球に立ち寄った記録があるが、その際に記された「ペリー艦隊日本遠征記」には、中城グスクの石積み城壁の精巧さを高く評価する記述が残っている。

グスクが本土の城と違う点は、形状だけではない。グスク内には必ず、「御嶽」や「拝所」と呼ばれる場所が備わっており、当時の人々の信仰と深い関わりを持つ聖域としての役割を担っていたことがうかがえる。

現在、約300のグスクが沖縄・奄美地域で確認されている。沖縄観光の際はこれらのグスクを訪れ、悠久の時の流れに思いを馳(は)せてみるのはいかがだろうか。

(K)

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