Homeコラム【上昇気流】古典の音読が磨く日本語センス

【上昇気流】古典の音読が磨く日本語センス

紫式部

きょうは「古典の日」である。国民の祝日ではなく、周知されているとは言えないが、2012年に古典を顕彰する記念日として法制化された。

『紫式部日記』の寛弘5年11月1日(1008年12月1日)の記述に、藤原公任(きんとう)が紫式部に「そういえば、このあたりに若紫の姫君がいらっしゃるのでは」と語り掛けたとある。公任は『源氏物語』の登場人物「若紫」に絡めて戯れを言ったのだ。

この記述が、『源氏物語』が歴史上初めて記録されたものであることから、作家の故瀬戸内寂聴らが古典の日の呼び掛け人となった。「国民が古典に親しむことを促し……もって心豊かな国民生活及び文化的で活力ある社会の実現に寄与すること」を目的としている。

京都府は毎年この日、講演会やシンポジウムを開く。古典の朗読コンテストも09年から行われており、今年も16日に京都市の金剛能楽堂で開かれる。一般部門と中学・高校生部門に分かれ、『源氏物語』『枕草子』などが課題となっている。

気流子など高校の古典の授業では、先生から「とにかく声を出して読んでみなさい」と言われたものだ。インタビューした作家の林望さんは「国語教育は『平家物語』を朗読すれば十分」と言っていた。それによって、美しい日本語のセンスが自然と身に付くからだろう。

今年はNHKの大河ドラマ「光る君へ」が放送され、視聴率も結構高いようだ。これを機に古典文学を読む人が増えれば大河の功績大だろう。

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