
年末はまだ早いが、ブラジルで今年起こった印象的な出来事を挙げるとすれば、筆者は間違いなく「森林火災と煙霧」をその一つに挙げる。
昨年末からブラジル各地を襲った干ばつと熱波は容赦なく大地を焼き、前例のない多くの森林火災が発生した。乾期に当たる9月には、毎日数千件以上もの新たな火災が森林や草原、牧草地などで発生した。
その影響は、アマゾン熱帯雨林やパンタナル湿原、大西洋岸森林をはるかに超えて、多くの人々の生活にも影響を与えた。
1000万人以上の人口を抱えるブラジル最大の都市サンパウロもその例外ではない。森林火災で発生した煙霧は市街を覆い尽くし、何日も太陽が見えない日が続いた。筆者が体力づくりのために日課としているサイクリングも、目や気管支への影響を考えると自粛せざるを得なかった。
サンパウロ郊外で仕事をする知人の医師によると、気管支に問題を抱えて受診する患者が非常に多く、街によっては医療機関が対応しきれないほどになったという。
ブラジル北部の街や中央高原にある首都ブラジリア、サンパウロ州やパンタナルがあるブラジル西部など多くの街が影響を受けた。ブラジルメディアによると、国内全域の8割近くが何らかの影響を受けた。
気候変動や地球温暖化という言葉を気軽に使いたくはないと思う。しかし、筆者がこの数年で体験した数多くの森林火災や砂嵐、洪水などの気象現象は、自然を守り、次世代に受け継ぐ意識を持つきっかけとなったことは確かだ。(S)