宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、宇宙飛行士候補の米田あゆさんと諏訪理さんが基礎訓練を終え、宇宙飛行士として認定されたと発表した。記者会見で「宇宙開発は激動の時代で、私自身がどう活躍できるのか考えたい」と米田さん。
米国が主導する国際月探査「アルテミス計画」の中で、日本人初の月面着陸も見えてきた。わが国の宇宙開発史で画期的なことだ。
宇宙空間の開発は冷戦中、米・旧ソ連両国の軍拡競争の中で進められ1960年以降、英仏、カナダなどが衛星を打ち上げた。一方、大学の一研究室でロケットの研究を始めたわが国は、試行錯誤の期間も長かったが、今年、国産のH3ロケット発射に成功。
この間、主要国に後れを取るまいと、国際宇宙ステーションの運営に参加し、実験棟を造って大きな役割を果たした。2015年、安倍晋三首相(当時)は「GDP(国内総生産)600兆円に向けた生産革命において、宇宙分野を柱として推進」と宇宙利用の明確な指針を出した。
戦後、宇宙開発に対し国の指導者らに先見の明があったと言うべきだ。今や安全保障に関する衛星の通信技術に始まり、宇宙ビジネスに関わる市場競争、宇宙の起源解明など文明構築に欠かせない。中国はと言えば、無人探査機が月の裏側に着陸。拠点作りを画策しているようだ。
先の2人の宇宙飛行士が月に降り立てば非米国人で初めてで、日本の技術力を見る世界の目はまた大きく変わってこよう。